ひねくれ社長のたわ言

ひねくれ社長のたわ言

会長 竹内 修

私は信じる「真面目すぎる者、不真面目者の如し」 私は信じる「賢すぎる者、馬鹿者の如し」 私は信じる「素直すぎる者、ひねくれ者の如し」

連載エッセイ <その02> 

「応答」について考える

 当社も含めて、世間でよく見受けられる「なにか変だと感じること」の一つに「応答」があります。 
 まず、例を挙げます。 
「出来そうか」と聞かれると、「頑張ります」あるいは、経緯の説明で終わってしまう。 
「頑張っているの」と聞くと、「なかなか難しいですね」と言うような返事が、返ってくる。 
このように、予想を聞くと意気込みを、意気込みを尋ねると予想を述べる。 
同じように結論を聞くと解説を、計画を聞かれると事情を述べる場面に、しばしば直面する。 
 これらは、「応答」があったかに見えて、実は話をすれ違わせている事にすぎない。 
このすれ違いは、概ね当事者さえ気付いていない。但し政治家は意識的にすれ違わせているに違いない。 
 さらに一歩突っ込んで、 
「私は予想を聞いているのです、意気込みを聞いているのでありません」 
と言うと、たいていの答えは 
「やってみないと分かりません」となる。 
 社会現象では、「やってみないと分からない」は予想ではなく、一切の疑念を差し挟む余地のない絶対の真実である。何事も、やってみないと分からない事は、小学生でも知っている。 「やってみないと分からない」と言う応答は「私は予想する能力も、その積もりもありません」と同義語だ。 
 予想とは多くの可能性の中で、最も起こりそうなことを映画を見るように、思い浮かべる事と考えたい。 
 ここでは、量子力学の不確定性関係や、数学的な連続性の話は考えていない。 
未来を予想するためには、現在における森羅万象を考慮しなければならない。 
しかし、森羅万象を考慮することは不可能だから、未来を確定的に予言することもまた不可能だ。 
 したがって、予想とは当たらないことを覚悟し、それでも森羅万象のうち、出来るだけ多くのものに想いを巡らせ、 「自分の期待も希望も決して思考の中に入れないぞ」という“根性” を持って、最もありそうな、未来を描く精神活動である。 
 予想は自分の持っている全知全能を傾け、絞り出す、強烈な精神活動とも言える。 
故に、社会現象の予想は、自然現象の予想と異なり、勇気と諦めそして、覚悟と共にある事になる。 
だからこそ、真剣に未来を予想しようとする活動は、眠っている頭脳を甦らせ、例え、予想が外れようとも、知恵あるものとして生きる訓練となる。 
 しかし、一方では、社会科学は追試実験が出来ないところに救いもある。 
 アレ、アレいつの間にか「予想」について深入りしてしまった。多分、私は世の中の勇気も覚悟もない予想の氾濫にえらく怒りを感じているのだろう。 

 再び、すれ違い問題に復帰します。 
 仮定や前提と異なり、論理は万人に共通のもののはずだ。 
だからこそ、話し合いや、コミュニケーションのベースとなるのだ。ところが、論理展開のベースになる前提(仮定)と、論理過程の区別、そしてその問題の定義域が、明確に意識しないから、 論理のようで論理でない自分勝手な理屈で結論を導いて、何の疑問も感じない。殆どの場合、これらの行動思考は無意識である。 
 これらの事実と正面から向き合うことが恐ろしいからであろう。 
 事実を事実として認める勇気、そして「ありたい事」と「ある事」の峻別できる勇気、「仕方がないこと」と「必要なこと」を認識できる勇気が必要だ。 
 太平洋戦争が終わった時、海軍提督であった井上成美は、敗戦の原因を聞かれたとき「日本軍は、勝ちたい事と勝っていることの区別がつかなかったのだ」と言った。 
これらの当事者さえ気付いていない無責任な応答が、ミスコミュニケーションを引き起こし社会や企業に多大な損失と非能率を蔓延させている。 
 今、企業の能率向上は作業能率ではなく、コミュニケーション能率の方が、より有効だと考え、当社では応答を以下の10パターンで応えるように要請している。 
  • 設問が理解できたとき
  1. Yes!       (賛成)
  2. Yes,But    (条件つき賛成)
  3. No!        (反対)
  4. No,But     (条件つき反対)
  5. タイム(考える時間が欲しい)
  6. 話は判りましたが、同意できません。
  • 設問に問題があるとき
  1. 意味が判りません。  (再度、説明して欲しい)
  2. それは別の話。    (話が脱線している)
  3. その話は、前提を満足していません。(例が悪い)
  • その他
  1. 口が滑った。
ただし、次の3つのパターン(a,b,c)もよく見られ 
のだが、好ましくないとしている。
  1. 言いたかっただけ   (独り言)
  2. 補強します      (笠にかかった口撃)
  3. (笑う)       (ウフフ、ハヒフヘホ)
 また、質問者にも相手がこの応答パターンで応えられるような質問を要請している。 
従って、「……ですが、どうですか」等のどう応えてよいのか判らない質問も禁止されている。 
 これによって、現実と期待、経緯と結果を明確に区別できるとともに現実感のない言葉ではない、もっと現実的なイメージを描き出すことが出来る。 
 しかし、この訓練は易しそうに見えて、極めて困難である。「どうして素直に応えられないのか、応えられないには応えられない理由があるはずだ」 と言うしごく当然な質問を、安易な妥協を許さず、徹底的に考えることから始める。まさにフロイドが精神分析学にたどりついた方法だ。 
 私の見るところ、この訓練は自分の弱さや見栄、自分の中に潜む悪や矛盾を理解すると事から始めなければならない。 そうすれば、意識の上に登らない無意識の悪や矛盾の存在を素直に認め、他者に注意を向けるのではなく、自分に注意を向けようになってくる。 
この応答パターンがどの程度出来るかは当社の人事評価の一つの項目にしている。 

 情報社会と言われる現在の日本では、作業分析の概念を提案したW.Fテイラーの時代ではない。 煉瓦積みのようなくり返しのある力仕事は、殆どなくなってしまい、情報の共有化と伝達、アイディア、計画、決断などが大きな比重を持つようになってきた。 従って、一生懸命とは額に汗することではなく、額のうちに汗することとなる。 
 話をすれ違わさないようにすることはコミュニケーションの基本の基本である。機能集団である企業のコミュニケーションは、相手に疑義や解釈に迷うようなものであってはならない。 
 機能集団である軍隊や、時間に余裕のない航空管制の書式や文法はきわめて簡素なものである。 
 ただ、旧日本軍の報告、命令はかなり機能集団としては文学的であったらしい。 
 この悪癖の源流は、日本海海戦のあの有名な報告、秋山真之の「敵艦見ゆとの報に接し、連合艦隊ただちに出撃す、 本日天気晴朗なれど波高し」の「天気晴朗なれど波高し」の部分だと指摘する人がいる。 
 秋山参謀の電文を、後世のあまり素晴らしくない軍人が見栄をはって真似るようになったのだそうだ。 
 当社のEメールの文法、書式は航空管制用語を参考にして、きわめて簡素なものである。ただ、機能集団とはほど遠い、男女の寝物語にこれを適用するのは顰蹙ものに違いない。 
 私も注意しなければ……。 
 芥川龍之介は「機知とは三段論法を欠いた思想である」と言っているではないか。 
 そして、このすれ違いのない応答を他者とではなく、自分の中に、2人の他人を想定し、実施する練習をすれば、他者の行動も未来予想も多方面からの見方が出来、 人生も、社会も我が手の中にあるように感じられるにちがいない。 

ああくたびれた! このあたりでやめにしよう。 

また次の “文句探し” に命賭けよう。 

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