ひねくれ社長のたわ言

ひねくれ社長のたわ言

会長 竹内 修

私は信じる「真面目すぎる者、不真面目者の如し」 私は信じる「賢すぎる者、馬鹿者の如し」 私は信じる「素直すぎる者、ひねくれ者の如し」

連載エッセイ <その06> 

「トップの仕事」を考える

トップとはどのような仕事をし、どのような考え方をしたら良いのか、調べてみようとした時期があった。 
 トップはどうあるべきかというような本は、書店の本棚にあふれ返っている。私は出来るだけ多くの本を読み、そこから、共通するものを探ろうとした。 そこから、私の得た結論は「共通するものはない」であった。 
 まあ、これだけ多くの人が、これだけ多くの好き勝手を、自信を持って、言えるものだと思った。 
 曰く、 
「トップは矛盾を飲み込める大器でなければならない」 
「トップは哲学を持たねばならない」 
「トップは先見性を持たねばならない」 
「トップは戦略が立てられなければトップではない」 
「トップは教育者でなければならない」 
「トップは営業マンでなければいけない」 
「トップは現場を知らねばならない」 
「トップは経理が分からねばならない」 
「トップは威厳を保たねばならない」 
「トップは従業員と親しくできなければならない」 
「トップは誰よりも朝早く来て働く姿を見せねばならない」 
等々数え上げれば切りがない。 
ああくたびれた。 
 さらに、ある社長は、薄利多売が儲けの基本だと言えば、他の社長は個性化の現代は厚利少売だともいう。 
一昔前には財テクが出来なければ経営者ではないとも言われた。 
これいったい、どうなっているの???? 
こんなもの私にできるわけがない。しかも二律背反的で原理上不可能なものもある。 
また、サクセスストーリーとして本に書かれた成功者と同じことをしながら、書かれなかった数多くの失敗者埋もれているに違いない。(誰も失敗物語など書かないから) 
 実際サクセスストーリー通りにやりながら敗者の憂き目を見た知人もいる。 

 結論 
どこにでも当てはまる一般解などないのだ。欲しいのは、私が実行できる特殊解で十分だ。 
 強いて一般解を求めるなら「尚書」(五経のうちの「書教」の別名)の中の9徳を掲げておくので使えると思う人は使って下さい。 
  1. カンにして(リツ)(寛大だがしまりがある)
  2. ジュウにして(リツ)(柔和だが、ことが処理できる)
  3. ゲンにして(キョウ)(まじめだが、ていねいで、つっけんどんでない)
  4. ランにして(ケイ)(事を治める能力があるが、謹み深い)
  5. ジュウにして()(おとなしいが、内が強い)
  6. チョクにして(オン)(正直・率直だが温和)
  7. カンにして(レン)(大まかだが、しっかりしている)
  8. ゴウにして(ソク)(剛健だが、内も充実)
  9. キョウにして()(強勇だが義しい)
 この9徳の部分は故山本七平氏の「人望の研究」より引用した。 
カッコいいなあ~~さすがに山本七平氏。私とは格が違う。 
世間では色々な良いと言われることがある。しかし、こうすればトップとして成功するなどという方程式は存在しないのだ。 
そう考えると、自分の好きなこと、得意なことを力一杯し、あとの失敗成功は「神の手に委ねよう」ということになる。 
 得意なこと、好きなことであれば、飽きることも疲れることも少ない。従って、成功確率も少々増えるだろうし、失敗であっても 納得出来る。 
私は見ている。多くのトップが自分の不得意分野で悪戦苦闘しているのを。それはまた、社内外から同情を得ようとしている姿とも写る。 同情を得るのが特意な人にとっては良い作戦かもしれない。 
確かに、日本文化の根底には辛い目に遭うことを善とする考え方がはびこっている。 
「苦労してます」、「ガンバッテます」、「修行、修行」・・・。 
 この文化は江戸時代の思想家、鈴木正三や石田梅岩の考え方と、「妬み心」が結合したものではないかと、考えることもある。 
(あまり自信はないが) 
石田梅岩はあるとき百姓から、 
「私は仏を信じる心は誰にも負けない、と思っています。しかし、 
「野良仕事に忙しく、お経をあげる時間はとれません」。 
「沢山お経をあげなければ極楽に行けないと、聞いております」。 
「お坊さんは、お経を上げるのが仕事ですから、当然たくさんのお経を上げることが出来ます」。 
「信心ごころでは負けていないのに、どうして、私が極楽に行けないのでしょうか。これは人間として、不公平です」 
と言ったのに対し、梅岩は、 
「田畑を耕すこともお経を上げることと、同様尊いことだ」。 
「お坊さんは、お経を上げることが仕事で、百姓は田畑を耕すのが仕事であり、お経の回数など問題ではない」。 
「それぞれが、自分の職業に励むことは全くお経を上げることと同じであり、それぞれが修行なのだ」 
と、答えたという。  
 ここから、人生全て修行と言う考え方が生まれ、困難に立ち向かうとき、「修行、修行と思って辛抱せよ」という言葉になったのだろう。 
 修行とは本来、宗教用語だと思う。 
 この文化は、期せずして、マックスウエーバーが指摘した近代資本主義精神の一部と同じものであり、グローバルスタンダードと言われているものの一部を成すものである。 すなわち、職業に貴賎はなく、職業に励むことは宗教儀式であるということである。
 私はこの部分ではこのような文化を持っていない他のアジア諸国に比べて、わが国はグローバルスタンダードを受け入れやすい土壌が、あると思う。 これを意識すれば、今グローバルスタンダードの波に洗われている日本を浮上させられるヒントになるのではないかと考えている。 
 しかし、この文化にも大きな落とし穴が隠れている。それは、修行ないしは、苦労が目的化することである。 
 すなわち、苦労のために苦労することになりかねない。 
 ほとんど実現不可能に思える事に、 
「成せばなる……」 
「不可能を可能にするのが……」 
のような玉砕思想に陥りやすい。 
 このようなトップの自己満足のために、”正義ヅラ”をして不必要な危険や苦労を押しつけられたのでは、たまらない。 
 私は苦労はいとわないが、やはり、やりがいのある苦労をしたいものだと思う。 
 また、我々は妬み深い民族だと思っている。「乏しきを憂いず、等しからざるを憂う」という心情は、人間である以上当然であろうが、我々は少々強すぎると思っている。 この嫉妬心が、「修行」「苦労することは善いことだ」、という正義の仮面をつけて現れると、始末が悪い。 
 ここから「お前も私同様苦労しているのなら、ことの善悪、成否は別にして ”苦労仲間” として、受け入れてやろう」という心境になるのではないだろうか。 ガンバルという言葉に、一部ではあるが、いつもこの響きを感じるのは、「ひねくれ者」の真骨頂と思っている。 
だから私はガンバルという言葉を聞くと、元気とともに、少々の後ろめたささえ感じてしまう。 

 先週ある会合の挨拶で 
「堺屋経済企画庁長官が、景気回復の胎動を感じると言われたのに対し、財界の指導者達は、そんなことはないと、即座に否定したのはケシカラン」。 
「財界の指導者なら、嘘だと思っても、世の中を明るくし、消費を回復させるために同感を表明するべきだ」 
という話があった。 
その話を聞いていて、「大本営発表」と同じ考え方ダナーと感じていた。 

確かに未来が明るければ、人は明るくなる。 
しかし、明るくもない未来を、明るいと偽って、明るくしようと言うのは本末転倒で、世間を馬鹿にしすぎている。世間はそれ程馬鹿ではない。 
同じ延長線上に、「不透明」という言葉がある。景気の下降が、明かなとき「不透明」という言葉が使われる。 
「不透明」は、たいてい「透明」である。ただ、将来の景気が悪いの別表現である。 
また、最近の「見たくないものには目を閉じて、その現象がないことにする」のが、先送りの「思想」???(見たくないものは、ないものであるとする)。 
ここしばらく、日本は暗い時代を過ごすことになると思う。 
ではどうするのか。 
暗い道を明るく歩む技術がトップに要求されると思う。 
暗い道を明るく歩け、というのは、無理な相談だという意見もあろうが、徒然草に「外証整わずんば、内証整わず、内証整わずんば外証整わず」 
とも言われている。 
辛い環境になっても、明るく振る舞い、明るく考える技術は必要であろう。 
ただ、暗く、考え深そうで、心配顔の方が、賢 に見えるので、この誘惑に負けないようにしなければならない。 

 組織化された社会になるほどトップは恐ろしい職業となる。これを極度に組織化されている例として、1万の兵員を持つ軍隊を考えてみる。 
もし、大将が兵として働くなら、一万分の一の戦闘力の増加にしかならず(本当は年もとっているから、足を引っ張るだけであろう)、大した害にも益にもならない。 何しろ一万分の一なのだから。 
しかし、組織というものは原則的に指揮官の指示通りに動くものだから、退却が適当な時に、攻撃命令を出せば、大敗する。 
これは大いなる罪である。 
将が兵になって、力一杯頑張っているのを見ることがある。 
友人の社長が 
「夜遅くまで社員を頑張らせていますし、私も一緒にフォークリフトに乗って汗を流しています」 
と得々として話に来ました。 
私は 
「社長の仕事はフォークリフトに乗ることではない」 
「フォークリフトの運転手ならあなたの給料は高すぎる」 
「そのような困難に直面させないように、手を打つのが社長の仕事だ」 
「社長自ら従業員とともに、汗を流さなければならないときもあるが、自分の不明さを悲しく思う気持ちとともにあって欲しい」 
といったことがある。 
多くの将が兵の関心を買うためだけにフォークリフトに乗っているように見える。 
将は兵ではなく、兵は将ではない。 
このことは、昔から「将の理論、兵の理論」として言われている。 
「優れた兵、優れた指揮官ならず」である。 
一方、「課長、係長の成れの果て、部長、課長の成れの果て、取締役、部長の成れの果て」という言葉もある。 
この言葉は、日本のような年功序列社会では一部の真実を言い当てていると思う。 
その結果、兵の理論を実践し、優等生であったので、将の地位を得たものは、将の理論を学ばないまま、究極の兵の理論だけで組織を運用してしまう、これは大いなる危険である。 
時により、組織を破滅にまで導いてしまう大企業の不祥事も、こんなところに、根の一部があるのかもしれない。 
問題は、将の理論を学ぶ機会が少ないことである。 
この原因は、世間にこの認識が薄いこと以上に、兵が生半可にに将の理論を学んで仕舞うと、かえって危険となるので、隠匿されているのだと思う。 
ここでも、私の「将の理論」は伏せておこう。 
何故なら、言うほど立派なものではないから。 
私の夢は、将の理論を学んだ兵と、兵の理論を知っている将によって構成される史上最強の組織を作り上げることです。 
ここに思いつくまま、私の将の理論(少なくとも単なるリーダーシップ論ではない)のヒントとキーワードを掲げておきます。皆さんも、自分の将の理論を作って見ませんか。
☆「勇気」 
☆「覚悟」 
☆「自立」 
☆「誇り」 
☆「父の愛」 
☆かってのドイツ参謀本部が指揮官を選ぶ順序。 

1.やる気なし、能力あり 
2.やる気なし、能力なし 
3.やる気あり、能力あり 
4.やる気あり、能力なし 

まさか、この基準だけで指揮官を選んだ訳ではないだろう 
が、イミシンだ。
ここで止めようと思っていましたが、やっぱり、もう少し書きたいぞ。 
偉いと言われている地位についたときの挨拶は「はからずも(根回ししても)このような大役を仰せつかる事になり驚いております、微力ではありますが、 皆さまのお力からをお借りして、一生懸命この大役を果たして行く所存でございます」 
が一般型であろう。まさに、やる気あり、能力なしの典型となっている。誰も本気でこの挨拶を信用しているわけではない。私が考えるには、これは、踏み絵である。 
皆、分かっているが、これができない奴は日本文化になじまない、不逞なやからであり、我々の仲間ではないから、排除してしまえということになるのだろう。 

一生に一度でよいから、 
「私は能力は十分ですが、やる気は全くありません、いつでも解任して下さい………」 
と言うような挨拶をしてみたいものだ。ああおそろしや~。 
なんと私は恐ろしいことを夢見るのだろう。 

「竹内君、歴史を見ると寝首をかかれるリーダーと、かかれないリーダーがいるよ、その違いはキャラクターによっている」 
とある大学の先生が言われていた。 
寝首をかかれるとは、クーデターや裏切り、弱みを突かれることだろうが、こんな事になってはリーダーもトップもあったものではない。 
少なくともそのようなことが起こらないという自信は、どのようにすれば生まれるのだろう。 
答え: 
心底からは、憎まれないようにする。(少々憎まれてもOK) 
ではどのような考え、立ち居振る舞いが憎まれないのだろうか。 
みなさん、考えてみて下さい。私も答えらしきものを持っていますが、かなりややこしい話になるので、別の機会に書いてみたい。 
 つくづく思う、これこそ、トップの仕事と言い切れるものはあるのだろうか。 
確かに、それをしてはいけないと言えるものはあるようだ。 
幸い、「品行方正」はトップとして是非必要な基準ではないと思う。……独りよがりでありません様に。 
 今回は尻切れトンボの感がありますが、これにて……。 
おわり。

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